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125年前、ノルウェーの探検家ナンセンが、木造スクーナーのフラム号で、北極海の氷に閉じ込められたまま漂流して北極点を目指しました。
10年前、同じスクーナー型の帆船タラ号が、フラム号と同じルートをたどって、北極海を横断しました。
そのタラ号が、東京に寄港して一般公開されるということで、船好きの友人と一緒に見学してきました。
場所は東京ビッグサイトの近くの有明客船ターミナルです。ゆりかもめが国際展示場正門駅に着くと、目の前に係留されていました。2本のマストの高さが全く同じなのが特徴的です。
フラム号の全長39mに対して、タラ号は36mなので、ほぼ同じ大きさです。フラム号で1000日かかったところを、タラ号はほぼ半分で進みました。温暖化で海氷が薄くなり、それだけ流されやすくなっていることが原因と考えられているそうです。
近寄ると、アルミ製の船体の色が独特で、あちこちに凹んだ跡もあり、特別な船であることを感じさせます。
10名ずつくらいのグループに分かれて乗船し、タラ号のクルーであるルイさんから説明を聞きました。科学探査船として様々なプロジェクトに取り組んでいる中で、特にプラスティックによる海洋汚染の問題について熱く語っていただきました。
このドアから操舵室や船内に入って行けるのですが、一般公開されているのはデッキ上だけで、船内は窓越しにしか見られませんでした。
でも一番興味があるのは、帆走するための艤装がどうなっているかなので、デッキ上のいろいろなロープの取り回しを目で追いかけながら楽しみました。
一通りの説明が終わった後も、ルイさんから根掘り葉掘りとタラ号のことを聞きました。船好きの仲間と一緒に行くと、こういう時にいろんな質問が出て盛り上がるので楽しいです。印象に残っているのは、
- 最大16名が乗船できて、その中で船を動かすための乗組員は6名、科学者が数名、他にアーチストやジャーナリストが乗ることもある。
- 研究のための時間に追われるので、帆走するのは直近のプロジェクトで3割くらいだった。もう少し時間にゆとりのあるプロジェクトなら5割くらい。
- 船底には、普通の帆船と違って重いフィンキールはなく、氷に閉じ込められて氷の上に乗ることもあるので、帆走時のセンターボードに相当するものもラダーさえも可動式で取り込めるようになっている。
- メインマストの上部にある見張り台は、氷の中を進む際に遠くの割れ目まで見渡すためのもの。(でも最近はドローンが使えますねという話もしました。)
次は明後日出港してハワイを目指すそうです。その前に、取り替えなくてはならないロープがあるとのことで、そのためか、最後に一緒に記念写真を撮らせてもらった後、さっそくマストに登って何か作業をしていました。
作業を手伝ったりマストに登ったりしたかったです。