ペルー旅行05: ティティカカ湖に浮かぶ「ウロス島」と試練の「タキーレ島」

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浮いている「ウロス島」

富士山より高いところで初めて1晩過ごしましたが、高山病予防薬が効いているのか、オリャンタイタンボとクスコで高度に身体が慣れたのか、問題なく眠れました。でも薬の副作用でたまに手足が少ししびれた感じがします。

今日はボートでタキーレ島に渡ります。ペルーのお金が底をついてきたので、両替できる所を探しながら港に向かって歩いていきました。最初は雑然とした路上の市場を抜けて行きます。

結局、両替できるところは見つからず、息子がまだ病み上がりなので、途中から人力自転車タクシー2台に2人ずつ乗って港まで行きました。タクシーは1人1ソル(35円)でした。

タキーレ島に渡るボートは、昨晩プーノの駅に着いた時からあちこちの旅行エージェントがうちのツァーにしないかと声をかけてきてましたが、港で直接ボートを見ながら決めたかったので全部断ってました。港に着くと、さっそく「港のジョン」(ホアン・デ・プエルト)と名乗るおじさんが声をかけてきました。ボートを見せてもらい、内容も料金(往復4人で26ドル)も良さそうだったのでそれに決定。

8時に出港して45分くらいでウロス島という島に寄りました。この島は、何と本当に浮いているのです。葦を積み重ねた土台に、葦で小屋を建てて、葦で船を作って、それが集まって村が出来て、家畜を飼って、漁をして、観光客相手に民芸品を売って、そういう生活が全てティティカカ湖に浮いているのです。

そのユニークさが今回の旅行の中で一番印象に残ったことでした。(妻、息子もそう言っています。娘はマチュピチュが一番でした。)

大きな島もあれば、1坪くらいの小さな島もあります。小さな島には、ブタが数頭放たれています。ブタは逃げようにも逃げられません。ブタ専用の島です。それがプカプカ浮いています。

島の人が漕ぐ葦船に乗って、隣の浮島に渡りました。この葦船がまたとってもいいんです。船首には飾りの顔がついています。子供達はこの船のミニチュアをおみやげに1つずつ値切って買いました。この模型もちゃんと同じ葦で出来ていて顔もついています。

島の上を歩いてると、場所によっては足がかなり沈んで、じわーと水がしみてくるところもありました。

タキーレ島の試練

船はウロス島を離れて、両側に葦が生い茂る間の水路を、葦をスクリューにからめないように右に左に避けながら進みます。船首に座った人が水の中を覗き込みながら、手で右・左と合図するのを見て、船尾の人が舵を取ります。

ようやく葦のない開けたところに出て、そこからはタキーレ島に向かってひたすら進みます。ウロス島から3時間くらいでようやくタキーレ島に着きました。

しかしまだ到着ではありません。これから今回の旅の最大の試練が始まります。港から島人が住む村まで、約600段の石段を登って行かないといけないのです。しかも、富士山の頂上よりも高度の高いところです。たいていの人は日帰りですが、我家はこの島に泊まるつもりなので、荷物を全部詰めたリュックまでかついだまま登らなくてはいけません。

妻はリュックを現地の子供に持ってもらうことにしましたが、残りの3人は自分達でかついだまま登り始めました。ゆっくり登るけど、すぐに苦しくなるので休み休みです。また心臓が熱くなる感じがしました。空気も乾燥しているので水もよく飲みます。妻のリュックを持ってくれてる子供はさすがに全然平気で、こっちが何度も休むからそのたびに待たされて退屈そうです。

一番元気だったのは病み上がりのはずの息子でした。朝食をあまり食べなかった娘もエネルギー源が身体になくて、かなりきつかったようです。妻は、同じボートで着いたグループの最後尾をもう一人大きなリュックを背負ったおばさんと抜きつ抜かれつしながら登りました。

ようやく坂を登りきった所にある石のアーチをくぐりました。真っ青な空に真っ青な湖がきれいです。

リュックを持ってくれた子供は、私を物陰に引っ張って行ってチップをくれと要求します。ペルーのお金は、細かいのが2ソルしかなくて、2ソルじゃ申し訳ない気がするので、ドル札で2ドル(7ソル)渡そうとしたら、首を振ります。やっぱりドルじゃまずいよなあと思い、10ソル札を渡しました。ガイドブックに荷物は10ソルで運んでくれると書いてありましたが、港の人は2~3ソル渡せばいいと言ってました。物価感覚からすれば、10ソルはたぶん子供にはあげすぎだったのだと思います。その子が私を物陰に連れて行ったのも、島の大人が見てるところで多額のチップを要求してもらうのは気がひけるからだったのでしょう。

妻もようやく登りついて、同じボートで着いた人は、1つの家の中の食堂にそろいました。ガイドの人がタキーレ島の説明を始めました。お昼はその後のようです。娘はお腹を空かせきっていてかわいそう。説明は結構面白くて、男性の島人はかぶってる帽子の模様で独身かどうか分かるし、女性は黒いマントのかぶり方で分かるそうです。娘は待ちきれず、途中から持って来たバナナを食べ始めました。その後、実際に観察していると、男性の帽子は説明通りでしたが、小さな女の子はかぶり方が楽な既婚者かぶりをしてるみたいでした。カラフルな織物を使った民族衣装は島の景色にも似合い、とてもいい感じです。

ようやくお昼ご飯となり、スープ、湖で採れたマスのムニエル、ポテトフライ、コカ茶の定食が8ソル(280円)でした。どれもおいしかったです。

タキーレ島の昼下がり

昼食が終わると、ボートのガイドの人が、泊まる部屋がどんな所か見せてあげると言うので着いて行きました。2つベッドが入った部屋が隣り合っていて、ベッド以外には電気も水も何もありません。ガイドの人は、日帰り客を連れて帰るために「グッド・ラック」と言い残して去って行きました。

さあ、もう英語が通じる人はいません。そう言えば、ガイドの人は、泊まる部屋の見本(サンプル)を見せてあげると言っていたような気がします。この部屋をそのまま使っていいのかどうかもよく分かりません。

ペルーに着いて以来、次はどこに行く次は何をするという感じで何となくずっと忙しかったのが、ここでようやくのんびりする時間が出来ました。全長6キロ幅1キロの小さな島の中に明日の昼までいるので、時間はたっぷりです。とりあえず、のんびり島の中を歩いて、景色のいい所に腰をおろしたいなあと思いました。

リュックは部屋に残して、ドアには鍵がないので、持って来たチェーンと鍵で念のためドアをロックします。こんな田舎の島の中で、そんなことしたくない気持ちもありますが、万一後でやっぱりしておけば良かったとは思いたくないです。

島の中の道をぶらぶら歩きました。まだ、何となく島全体がよその家で、お邪魔してるような気分がして、この道を歩いてもいいのかなあ、すれ違う島人に何か言われないかなあと、落ちつきません。

でも、途中で出会った島人と「オラ(やあ)」とか「ブエノス・タルデス(こんにちは)」とかあいさつをかわすうちに、そういう気持ちはいつのまにかなくなりました。

石垣を飛び越えて逃げないようにするためか、4本足のうちの2本をヒモでしばられたヒツジがいました。いろんな花も咲いていてきれいです。石を積んで作った小屋の遺跡もありました。岩に登って座って今までの日記を書いたりしました。

そうだ、そう言えば、港からの坂を登りきった所で、島に泊まりたい人が登録する所がありました。ガイドブックでも、そこでお金を払い、誰の家に泊めてもらえるかを決めてもらうことになってました。ガイドの人が後でいいからと言っていたので、着いた時は登録しなかったのですが、そこに行って見ると、すでにボートが着いてからはるかに時間がたっているので、誰もいませんでした。

タキーレ島の夜

夕方、今度は島の奥の方に散歩に行くと、途中で年配の島人のおじさんが握手を求めてきました。お昼を食べたのもリュックを置いてきた部屋も、どうもそのおじさんの家のようです。「夕食もうちで食べるね?」と聞いてるようなので、うなずきながら「シー」(スペイン語でYes)と返事します。

一応、我が家があの部屋に泊まることはちゃんとしかるべき人に認知されていることが分かって、夕食もちゃんと用意してくれそうで、ホッとしました。まだよく分からないのは、宿代をいつ誰に払うのかですが、成り行きにまかせることにします。

歩いて行くと、島の一番中心地らしい広場に出ました。そこには教会もあり、教会の入口には島の男の人が何人か集まって井戸端会議をしている雰囲気です。広場で遊んでいる子供もいます。「教会の中に入っていいですか?」と身振りで聞くと、ニッコリと「どうぞ」という返事が身振りで返ってきました。

暗くなる頃宿に戻り、電気がないのでろうそくに火を点けます。ろうそくは意外と明るくて、いい雰囲気です。

19時になって食堂に行くと、フランス人のカップルもいて一緒に待ちました。しばらくして女の人が出てきて、スープとトルティーリャがあるけどどちらにするかと聞いてるようです。昼食の定食の量から考えて、3人分を4人で食べれば十分そうだったので、スープを2つとトルティーリャを1つ頼みます。トルティーリャはライスも入った平たいオムレツのような感じでなかなかおいしかったです。

隣のフランス人のカップルは、2人ともスープもトルティーリャも注文したようで、両方とも食べています。さて、メインは何が出るのでしょう。ずっと待つけど次が出てきません。時々台所に続くドアが開いた時の中の様子では、もう何も作ってる気配はありません。ひょえ~、じゃあスープもトルティーリャも4人分頼めば良かったけど、もう後の祭りです。

昼食の時は食後にすぐお金を集めに来た人に払ったのですが、夕食の分は明日発つ時にまとめて払えばいいのかなあと思って、食堂を出ようとすると、さっきの女の人がちょっとあわてた感じで出てきて「ラ・クエンタ」(勘定)と言うので、全部で3ドル払いました。

う~、お腹すくなあ。持って来たフルーツやクラッカーを部屋で食べてしのぎます。

すっかり暗くなると、空気の薄い高い所でしかも電気がないから・・・満天の星が★すごい★です。天の川がくっきりと流れ、南十字星がひときわ光っています。月も出ていなかったので本当に星がきれいでした。

夜の寒さが心配でしたが、用意してある毛布を全部かけて寝るとちょうど良くて、快適に眠れました。

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