ポーランド航海日誌01: ボートに乗船し、トレーニング中に危うく大惨事となる

この記事は約8分でお読みいただけます。

ポーランド航海日誌のトップページへ

ボート基地のあるリビナへ向かい、ウーカスさんに会う

ボート基地のあるリビナは、鉄道もバスもない田舎で、グダニスクからどうやって行くかが懸案でした。全部タクシーだと高いし、バスでできるだけ近くまで行っても、そこでタクシーが捕まらないとアウトです。

ボート基地のオーナーのウーカスさんに事前にメールで相談したところ、バスでステグナという街まで行けば、車で迎えに来てもらえることになりました。この後もさんざんお世話になるのですが、とても親切で波長も合うし信頼できる方です。

日本人がボートを借りるのは初めてとのことで、予約があった時には驚いたそうです。ポーランドは異常なほど好天が続いていて、今後もそれは続く予報だそうで、ラッキー!

ボートに乗船し、広い船内を探検する

リビナに着いて、これから1週間の我が家となるアニア号に乗船しました。

船尾にあるコックピットは、周囲の視界も良好だし、椅子の座り心地も良さそうです。

階段を降りて船内に入ると、7人乗りのボートなので、中は広々しています。奥の船首の2人部屋を航海士(妻)が独占して、船長(私)は、写真でスーツケースが載っているバンク(寝だな)を使うことにしました。

振り返って船尾側を見ると、階段とキッチンの間の狭い扉の向こうに天井は低いけど船尾の2人部屋があります。ここはスーツケース置き場となりました。

キッチンは、ガス2口、冷蔵庫、ティファール(これだけはマリーナに停泊中に外部電源に繋いでいる間だけ使えます)、食器・調理器具など、狭いながらも必要なものが全てうまく収納されていて、航海士が「とても使いやすい、これはよく料理する人がそろえたのだろう」と言っていました。

トイレ、洗面台、シャワーがある小部屋も思ったより広く、実際にとても快適に使えました。広い洗面台は、簡単に折りたためるようになっていて、そうすると広いシャワー室に変身します。これはウーカスさんのアイデアでそのように設計したそうです。

田舎のレストランでポーランド家庭料理

船の説明やトレーニングの前に夕食を済ませることにしました。自炊するつもりだったので、近くの小さな店に行くと、水、牛乳、卵などは買えたけど、夕食の材料になるものまではありません。

ウーカスさんに勧められた近くのレストランに行くと、どれだけお客さんが来るのか分からないような田舎のお店なのに、期待以上に美味しくて、しかもリーズナブルな値段でした。

まず、ソーセージと卵のスープ(約270円)。ポーランドのスープは、ちょっと酸味があるのが多く、それが美味しかったです。

名物料理の1つ、ピエロギ(約420円、ロシア料理で言うペリメニ)は、ポーランドで何度か食べましたが、特にキノコ入りのが美味しかったです。


メインは、2人で1皿、マッシュルームソースのステーキ、ポテト・サラダ添え(約720円)にしました。これもポーランド家庭料理という感じで、美味しくいただきました。

これにビールをつけても1人1000円もしないので、これからも外食は楽しめそうです。

ちなみに、ポーランドでは黒ビールがとても美味しくて、ほとんど毎日のように飲んでいました。

ボートのトレーニング中に危うく大惨事

ボート基地に戻ると、他の2隻のお客さんがボートのトレーニング中でした。もやい綱を解いて、離岸、出航し、水路をしばらく進んで、適当なところでUターンして、接岸、係留までを2回繰り返します。

我が家の番になり、その1回目に着岸する際、もやい綱を持った航海士が、早過ぎるタイミングで岸にジャンプしてしまいました。

右足は着地したものの、身体は岸まで届かず、左足の膝から下は川の中、慌ててボートの手すりをつかんだものの、片足は岸、両手はボート、その間が少しずつ広がっていて、今にも全身で水没しそうになっています。

「ヘルプ、ミー」の叫び声で、岸にいた人が走ってきてボートを捕まえ、何とか水没するのは免れましたが、手すりで胸を強打し、片足は擦りむいて怪我してしまいました。

舵輪とエンジンレバーを操作していた私も、船を岸に無理に寄せようとすれば、航海士がその間に落ちた時にはさんでしまう危険があるし、とっさには何もできませんでした。

ちょっと落ち着いてからの2回目は、意識的にもっと岸に寄せるようにしたし、航海士もジャンプせずに接岸してから岸に降りるようにしたのでうまく行きました。

後で考えると、2人だけで出発した後でこういうことが起きたらもっと大変なことになっていたでしょうから、周りに人がたくさんいるトレーニング中に起きたことは不幸中の幸いで、おかげで、その後は2人ともより慎重になりました。

実は、どうも胸を強打した時に、航海士の肋骨にヒビが入っていたようで、その後もしばらく痛みは続き、特にくしゃみをすると強烈に痛かったそうですが、病院に行ってもどうにかなるものではないので、結局、その後もクルーズと旅を続けながら、だんだんと痛みが和らいでいくのを気長に待つことになりました。

航路の説明を一通り聞く

トレーニングが終わり、3隻分のお客さんが集まって、ウォッカ、梨のリキュール、イチゴ、サクランボなどの差し入れをご馳走になりながら、ウーカスさんから航路の一通りの説明がありました。

ロック(水位差のある水路の間で船を上下させる仕組み)がどこにあるか、通過する手順、料金がいくらか、開かないと通れない低い跳ね橋はどれか、毎日何時に開くか、幅が300mくらいもあるビスワ川に出た後、砂州に座礁しないために、どのように標識を辿って航路を見つければ良いかなど、どれも重要な情報です。

我が家はインクライン(船を台車に載せて斜面を引き上げるケーブルカーのような仕組み)にも行きたいと言うと、手伝ってくれる係りの人をどこに呼びに行けばよいか、その人にいくらチップを渡せば良いかなどの貴重な情報を教えてくれました。

ロックは、船が入れるように水位を調整したり水門を開いたりするのに時間がかかるので、30分くらい手前で電話連絡が必要とのことです。ただし、ロックキーパーは、ポーランド語しか分からないので、ウーカスさんが、今から言う言葉を紙に書いておいて、その通りに話しなさいとのこと。

ジンドーブリュ (こんにちは)

プロシェ オトフォジェジュ シュルーザ (ロックを開けてください)

プエナ オトゥ [地名] (〜から来ます)

ジンクイエ (ありがとう)

と聞こえました。その通りに書いて読むと、周りのポーランド人たちがニヤニヤしながら、「パーフェクト!」と言います。

私にとっては、ロックを開けるための呪文のようなものです。はたして、私の呪文は通じるのでしょうか?

ポーランド航海日誌のトップページへ

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする

Translate »