ポーランド航海日誌03: 船に乗ったまま坂を登るインクラインを初体験

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跳ね橋が開く時刻に遅刻?

2〜3km川を上ったエルブロンクの街中に2つの跳ね橋が連続してあり、それらが開く9時に合わせてマリーナを出ました。

待ちきれずにかなり早めに出たので、わざとゆっくり進んでいたら、航海士が「もう少しスピード上げないと間に合わないんじゃないの?」と言います。

最初は「大丈夫、大丈夫」なんて答えていましたが、ぎりぎりすぎるかも、やばいかもと、だんだん焦って、スピードも上げて、結局、橋はとっくに開いて、3隻の対向船が橋を通過した後に、通れました。

ところが、すぐ先のもう1つの橋は閉まっています。さっきすれ違った3隻が通った後に、逆方向の船はいないと思ってもう閉めてしまったのかもしれません。

しばらく橋の前でウロウロしたり、警笛を1回鳴らしてみたけど開きません。今通って来た橋はもう閉まっています。2つの跳ね橋の間に閉じ込められて、次に開くまで2時間待たないといけないのでしょうか。

すると、橋の上に人が現れて、そのままくぐれと手招きしています。橋は2.8m、ボートは3mだけど、ゆっくり近づいて、恐る恐る橋の下に入ると、ぶつかることなく通過できました。

好天続きのせいか、きっといつもより水位が下がっていたのでしょう。

バードウォッチングしながら、ドルジノ湖を縦断

そこからしばらく水路を進み、ドルジノ湖に出ました。今回のクルーズでは唯一の湖です。湖と言っても、両側には睡蓮が広がっているので、水路は決まっていて、どこでも走れるわけではありませんでした。

オオバンなどの水鳥をバードウォッチングしながら湖を縦断し、また運河に入りました。

初めてインクラインを体験し、船で坂を登る

狭いエルブロンク運河を倒木や水草に気をつかいながらしばらく進み、このクルーズ最大の目的地であるインクラインに着きました。船を乗せた台車をケーブルで引っ張って、水位が高い次の水路まで船を持ち上げる仕組みです。

船をもやい、坂を登って行くと、前から若い係の人が降りてくるのに会って、英語も通じて、この先の建物でまずチケットを買うように言われました。

そこに行くともう1人おじさんがいて、往復分の規定料金(約220円x2)を払いました。そこにはケーブルを巻いた巨大なドラムと減速ギアの機械装置がありました。

この運河には、それぞれ14〜24mの高低差のある5つのインクラインがあり、合計100mもの落差を越えて船を運べるのですが、なんと電気やエンジンを使わず水力で駆動します。150年以上も前に造られたのに、素晴らしいエンジニアリングです。

船に戻り、若者の指示に従って、船を水没している台車の上へと進め、その後部に位置取りして、前後のもやい綱を台車の手すりに絡めて船を仮留めしました。若者がトランシーバーでおじさんに連絡すると、台車が音もなく動き出しました。ゆっくり歩くくらいの速さです。

写真を撮りまくっていたら、ピーと警告音が鳴っています。エンジンを停め忘れていたので、船が水から出て冷却水が無くなり、オーバーヒートしてしまいました。エンジンをすぐに切ったけど大失敗です。

坂を登り、最後は少し下って水路に入り、船がまた浮かびました。

エンジンをかけるとまたピーと鳴り出したけど、仕方ないので、そのまま進み、他の船がもやってある隣に着岸して、ここでお昼にすることにしました。

手伝ってくれた若者に、昼食後に下る時には呼びに行くと言って、ウーカスさんから相場を聞いておいたチップ約600円も渡しました。

オーバーヒートしたエンジンにてこずる

サラダ、パン、チーズ、ハム、チェリービール、コーヒーの昼食後に、もうエンジンも冷えただろうと始動すると、冷却水の排水口から水が出ていません。冷却水のフィルターを掃除しようと蓋を開けたいけど、固くて開きません。

ちょうどその時に、若者がそろそろ出発しないかと来たけど、状況を説明すると、おじさんを呼んで来て、力持ちのおじさんが難なく蓋を開けてくれました。フィルターを掃除してエンジンをかけたけど、まだ水は出ないし警告灯もついたままです。

とりあえずインクラインを下って、下で対処することにして出発しました。

下りでは、航海士は陸を歩いて、台車の上の船を外から撮影しました。

航海士が、冷却水のフィルターのところから水をいれたらどうかと言いますが、まずはウーカスさんに電話して状況を説明すると、同じことを言われました。船が水から出た時に抜けてしまった冷却水をポンプだけでは川から汲み上げて補充するには力不足なことがあるらしいです。

鍋に何杯も水を汲んで入れて、水が溢れ出ていることを確認し、エンジンを始動すると、ようやく警告灯が消えました。やれやれです。

エルブロンクの馴染みのマリーナへ戻る

帰りは順調で、跳ね橋が開く17時の20分前にエルブロンクまで戻ってきました。橋の前でウロウロしながら待って、通りたいことをアピールし、橋が開くや否や通過して、昨日と同じマリーナに入りました。

今度は、入ってすぐの浮き桟橋ではなく、電気が使えそうな左奥の岸壁に船を係留しました。受付の人は昨日と違うおばさんで英語が通じないので、「昨日は電気代を払ったけど電気が使えなかったので、今日二重に払わずに電気を使っていいか?」をGoogle翻訳でポーランド語にした画面を見せると、OKとうなずいてくれました。

昨日の歩道橋を渡って、ショッピングモールまで歩き、両替と食料の買出しをして、夕食もフードコートで済ませました。

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