紫の板にはさまったペニー硬貨

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一生の間に一度見れるかどうかというくらい珍しい光景だったのかもしれません。それも、全く期待していない時に、突然現れて、目を釘付けにしてしまうなんて。

Dsc01701標高2400mの立山高原ホテルに泊まった日は、一日中曇りでした。前日までスゴイ雨だったので、ちょっと心配でしたが、ここまで高原バスで登って来る途中で、一度雲の中を抜けて来たので、眼下には雲海が広がっていて、遠くの山が島のように浮かんでいます。

Dsc01760でも、上空にも雲がひろがっているので、日没は見られないだろうと諦めて、温泉につかっていました。そこに館内放送が入り、きれいな夕陽をぜひ御覧くださいとのこと。Tシャツ1枚にバスタオルをはおっただけで寒いながらも外に慌てて飛び出しました。

Dsc01764つい30分前は、雲と雲の間が遠くうっすらとオレンジ色に染まっている、こんな光景だったのです。これはこれできれいでしたが、太陽も見えないし、もうこれ以上は期待できないと思って、夕食前に温泉につかることにしたのです。

ところが、30分の間に、景色は激変していました。上層の雲の下から太陽が現れ、雲海を黄金色に輝かせています。寒いけど、もう目が離せません。

Dsc01768じわじわと太陽が上の雲から下の雲までの狭い隙間を移動する間に、雲海の色合いも、だんだんと染まっていく上層の雲の色も、刻々と変化していきます。

もう言葉はいりません。

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その日は、航海士の誕生日。お日様からのサプライズプレゼントでした。

ちなみに、タイトルの「紫の板にはさまったペニー硬貨」というのは、ランサムが書いた『ラカンドラ号の第三航海記』という本に出てくる言葉です。シンクロニシティと言うのでしょうか、この日没を見たほんの1週間ちょっと後に、偶然、ミルクの森さんから見せてもらったこの本のとある場面で使われていました。

ランサムは、この本では、とても素敵な風景描写をよくしているのですが、霧と雲の間をのぼる太陽をこのように表現していて、これは、まさに見てきたばかりの日没の光景と同じだ! と思ったのでした。

ARC会員の方は、次号の会報『1929』をお楽しみに〜。

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