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旅の計画
これまでの旅の中で、「自分はこういうのが好きなんだなあ」としみじみ思ったのが、英国ノーフォークで船を借りて湖沼地方をめぐった旅でした。その時の旅行記に書いたように…
今までの旅行とこれは全く違っていて、車で動き回ってB&Bに泊まるのではなく、船室付きのモーターボートを借りて、それで川や湖の上をあっちこっち動いて、食事も船の中で作って食べて、夜もその中で寝るのです。
夕方になると川岸の良さそうな所に船を着けて、一夜をゆりかごのようにゆられながら過ごします。朝は、鳥の大合唱で目を覚まします。実にのんびりとした気分になれました。
車での旅行のように、あれもこれも見てやろうという旅ではなくなって、つまり何かを見るための旅ではなくて、そこに「居ること」が楽しい旅になるのです。
そのような旅をもう一度したくなり、最初は漠然とフランスの運河でどこがいいだろうかと調べ始めましたが、フランス以外のルートも検討してみると、少なくともヨーロッパ12ヶ国で運河クルーズができそうです。
どうせならまだ行ったことがない国にしようと思い、その中でもポーランドは、他国よりボートのレンタル料金が安く、川と運河をつないだ周遊コースが可能なので、そこに決定。
借りる船にもピンキリありましたが、一番安い船でも十分そうだったので、1月下旬には、そのボートを早期割引で予約し、その日程に合わせて、貯めたマイレージでポーランド往復の無料航空券も予約しました。
出発が近づくにつれて、ボート会社からいろいろ役立つ資料が送られて来ました。通る運河や川で注意すべき場所や、どのマリーナに停泊するのが良さそうか、ロック(閘門)を通過する手順など、前もって勉強しておくのも楽しみのうちです。
日本を出発する日の朝、ボート会社からメールで、「もっといい船が空いているから、€100の追加でそちらに変更もできるがどうする?」と連絡があり、正規料金だと倍以上もする(€715も高い)船なので、大喜びで変更してもらいました。
旅程(2018年)
5/29(火) 成田→ヘルシンキ→グダニスク
5/30(水)〜6/2(土) グダニスク市街・郊外の観光(別記事)
乗船日 6/2(土) グダニスク→リビナ 16時頃ボートに乗船
1日目 6/3(日) リビナ→エルブロンク
2日目 6/4(月) エルブロンク⇔ドルジノ湖⇔1番目のインクライン
3日目 6/5(火) エルブロンク→マルボルク
4日目 6/6(水) マルボルク→トチェフ
5日目 6/7(木) トチェフ→グダニスク・ヘッド・ロック
6日目 6/8(金) グダニスク・ヘッド・ロック→リビナ⇔シュトゥトボ
下船日 6/9(土) 10時頃ボートを返却
6/9(土)〜6/20(水) ポーランド・スロバキア観光(別記事)
6/21(木) ロンドン
6/22(金) 帰国
旅の総括
まずは、今回のクルーズを1分間の映画予告編風のムービーにまとめたものをご覧ください。
中でも一番のハイライトは、(船頭は私ひとりなのに)「船、山に登る」体験でした。
電気モーターやエンジンなどの動力源を使わずに、船を運ぶケーブルカーのような仕組み(インクライン)を機械的に実現しているポーランドのエンジニアリングは凄いです。
このようなアクロバティックな運河があるのも大きな魅力ですが、ポーランドは、ボート初心者が船を自分で操船して運河クルーズをするのに最適な場所ではないかと思いました。今回の周遊コースでは、
- まだ操船に慣れない1, 2日目は、ロックは無く、ほぼ静水をクルーズ
- 基本的な操船に慣れた3, 4日目は、ロックが2つずつあって、ロック通過のスキルアップ
- 4, 5日目に、広いけど、流れや砂州があるため注意が必要なビスワ川をクルーズ
つまり、無理なく徐々にスキルアップができてしまうのです。(ロックとは、水位差のある水路の間で船を上下させる仕組みです。)
ボート初心者には、バウスラスター付きの船を借りることをお勧めします。船首の向きを右に左にその場で変えることができる装置です。インクラインを通過した後、狭い運河でUターンする時や、狭いロックや跳ね橋に進入する時に、とても重宝しました。
元々予約していた最安の船にはバウスラスターや船内シャワーが付いていなかったので、船をアップグレードしたのは大正解でした。
そのシャワーですが、洗面台を折りたたむと広いシャワー室になる優れものでした。船のシャワーや電動トイレがとても快適なので、シャワーやトイレ付きのマリーナに停泊中でも、結局船のを使って、一度もマリーナのを使うことはありませんでした。
水タンクも燃料タンクも大型で、1週間のクルーズで、どちらも一度も補給せずに済みました。飲料用は買ったペットボトルの水を使いましたが、毎日シャワーや自炊後の食器洗いなどに水を使っても足りました。この船なら、1ヶ月以上クルージングを続けても、快適な生活ができそうです。
何度かハラハラするようなこともありましたが、それこそが旅の醍醐味です。ハラハラした出来事、目にした素晴らしい風景、口にした美味しいポーランド料理などの詳細は、上記の旅程セクションからリンクしてある日毎の航海日誌でお楽しみください。