この記事は約6分でお読みいただけます。
狭い水道を通りダモイ・ポイントに上陸
6時前に起きると、狭い水道を航行中で、目の前に迫力のある島が見えていました。こういう時に、すぐに外に出て写真が撮れるバルコニー付きの船室のありがたみを感じます。
8時半頃、南極半島西岸の南緯64.8度にあるダモイ・ポイントに上陸しました。ここには、英国(右)とアルゼンチン(左)の避難小屋があります。
小屋の見学は後にして、雪の降る中、先にぐるりと一周歩けるコースを行くことにしました。
赤や緑の雪の上を歩く
川の中、岩の上、雪の上と変化に富んだトレイルを徐々に登って徐々に下って歩きました。
雪が降っていましたが、景色もそれなりに見えたし、朝起きた時から近くを走っていた別の南極探検船が、隣の湾に錨を降ろしているのも見えました。
南極の雪と言うと、真っ白なイメージですが、この辺りは、氷雪藻の影響で、雪が赤や緑に染まった所が広がっていました。彩雪現象と言うそうです。
一周した後は、ジェンツーペンギンのコロニーの近くまで行ってみました。ペンギンの糞が、氷雪藻の栄養になっているようです。
親は皆フィッシングに出かけていて、泳げる羽に生え変わりつつあるヒナだけが大勢いました。
快適そうな英国の小屋を見学
上陸地点に戻って、英国が昔、南極観測の中継基地として使っていた小屋“Damoy Point Hut”の中を見学しました。
なかなか立派で、手前にダイニング・キッチン、奥にドミトリーのような寝室があり、装備も食料も本も結構そろっています。
南極にしては快適そうに見えました。
昔ここに『ペンギンの10通りの食べ方』という本が置いてあったのを誰かが盗んで持って行ってしまったそうです。
ちなみに、ペンギンはすごく不味いらしいです。
パラダイス湾はアザラシ天国?
午後は、パラダイス湾(Paradise Bay)で、我が家はカヤックの予定でしたが、強風のため全員ゾディアック・クルーズとなりました。
南極の絶景スポット第1位に選ぶ人もいる景勝地なので楽しみですが、天気に大きく左右されてしまいます。
ゾディアックに乗って出発した時点では曇り空でしたが、氷は青々としてきれいです。手前の岸にはウミウがいました。
突然、大きな氷の崩落があり、うまく写真にも撮れました。
いくつもの氷河が流れ込むパラダイス湾ですが、こういうことがあるので、氷河の先端近くにはあまり近寄れません。
小さな氷山の上でヒョウアザラシが寝ていました。近寄って四方八方から皆で写真を撮っても起きません。
別の氷山の上には、カニクイアザラシのカップルが仲良く寝ていました。
空の遠くの方は晴れたようですが、この辺りはまだ曇っています。
またまた別の氷山に、3種類目のウェッデルアザラシがいました。
どのアザラシも基本的に寝ていました。パラダイス湾は、アザラシにとっても天国なのでしょうか。
パラダイス湾が桃源郷の姿を現す
段々と晴れ間が広がってきて、景色の方も絶景と言えるものになってきました。
とうとうこちらにも陽が差して来ました。氷も空気も輝いて、桃源郷にワープしたような気分です。
貴重な鉱物とウミウの巣がある岩壁
午前中は、赤や緑の雪を見ましたが、パラダイス湾の岩壁も思いのほか色とりどりでした。
ほぼ垂直なので雪が積もらないため、この岩壁で植物が越冬できるそうです。
南極条約で採掘は禁止されていますが、きれいな色をした所には貴重な鉱物資源があるそうです。
そんなことは知る由もなく、ウミウが岩壁に巣を作っていました。
南極基地を見て冬の厳しさに思いを馳せる
岩壁を過ぎると、アルゼンチンのブラウン南極基地がありました。
昔、ここでの越冬を嫌がった医師が建物に放火した事件があったそうです。
南極の冬には、きっと想像を超える厳しさがあるのでしょうが、夏の好天時の絶景を楽しんだ直後なので、そのギャップを埋めるべくもありませんでした。
恐る恐るフォーマルなディナーに参加
この日は、クルーズ中で最もフォーマルなホワイト・イブニングと称されるディナーで、全部白、または、白と黒の服装が期待されています。
私はパスしたかったですが、妻の強い希望で参加することになりました。
一番白っぽい生成りのジャケットに、カーリングの練習をする時に履いている黒っぽいパンツという格好で恐る恐るレストランに行くと、ビシッとドレスアップした人もいますが、それなりの格好の人もいました。
テーブルは、いつも以上にゴージャスにセッティングされていました。
幸い、2人テーブルに案内されたので、あまり周りを気にせずに普通に美味しく食事ができて良かったです。