ルメール海峡+氷海カヤック&ペンギンの島

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美しい海峡を氷山に塞がれる?

朝6時に起きると、ル・ボレアル号は、風光明美なルメール海峡(Lemaire Channel)を航行中でした。

狭い水路なので、たくさんの氷河をすぐ目の前に見ることができました。

次々と現れる小さな氷山には、よくアザラシが乗っています。

中には、怪我をしたのか、餌の方の色なのか、周りの雪を赤く染めているアザラシもいました。

いよいよルメール海峡の最も狭い所に差し掛かりました。

なんと、その真ん中に大きな氷山が、航路を塞ぐように浮かんでいます。

しかし、船長はそのまま進んで行きます。向かい風が強いし、潮流もかなりありそうで、船のスピードは落とせません。

大きな氷山と右の岸の間の狭い水路の真ん中には小さな氷山まであります。

本当に通れるのかと思えた大きな氷山と小さな氷山の間を、船はそうスピードを落とさずに通過しました。

朝食前からすごいスペクタクルでした。

氷の海をカヤックで漕いでシャンパンで祝う

今日最初の目的地のポート・シャルコー(Port Charcot)では、楽しみにしていたカヤックにいよいよ乗ります。

天気は晴れ、風は弱くて、絶好のカヤック日和で、船から岸や氷山までもすぐだし、昨日は強風で乗れずに今日に延期になってラッキーでした。

船尾に浮かべられたプラットフォームから難なくシーカヤックに乗り込んで船を離れ、カヤック組全員がそろうのを待ちました。

小さな氷がいっぱい浮いている海面を、チャラチャラ音をたてながら突っ切って漕ぐのは、今回のこれまでの南極クルーズの中で、一番楽しい体験でした。

変わった形をした青い氷山に向かって漕いで行きましたが、高くそびえている氷山の一部が目の前で崩落したし、あまり近寄ると危険です。

ゾディアックが何艇か集まっている所に行くと、クジラがいて潮を吹くのを見ました。

ゾディアックの1つがバー・ボートになっていたので、漕ぎ寄せて、正装したウェイターからシャンパンをもらい、カヤックの上で乾杯して飲み干しました。最高です。

雪の丘の頂から360度の絶景を眺める

船に戻った時にちょうどアナウンスがあって、臨時で希望者だけ、ここに上陸して雪の丘を登れるとのことです。

上陸は難しいらしく、その後も斜面を登ったりがあるので、私だけ参加することにして、急いでカヤック用のドライスーツを脱いで、いつものパルカに着替えて行くと、何とか間に合いました。

ゾディアックに乗って上陸地点にアプローチすると、屑氷が岸沿いにたくさんあって、その中に水路が作られていました。それでもエンジンに大きな氷が引っかかるので、停まってパドルで取り除きながら着岸しました。

10人毎にガイドが付いて、偶然3羽のペンギンも一緒に、雪の斜面を登って行きました。

先ほどカヤックで漕いだ辺りだけでなく、登っている半島の反対側の海も見渡せて、面白い形の氷山もいくつか見えました。

丘の頂上からの360度の景色は素晴らしかったです。

上陸地点のそばには、ここでは珍しいヒゲペンギンもいました。

アゴヒモペンギンとも呼ばれるそうですが、その名前の方がしっくりくる顔をしています。

船に戻り、既に丸一日分の充実したアクティビティをこなした気分ですが、これからランチです。

息を飲む景色のルメール海峡を南下

遅いランチを終えて展望ラウンジに行くと、船は、狭いルメール海峡をさらに南下中で、次々と息を飲むような景色が広がりました。

目の前の見上げるような氷河、大迫力です。

最南の島でペンギンの生態をじっくり見る

午後は、ルメール海峡を抜けた先の南緯65.17度にあるピーターマン島(Petermann Island)に上陸しました。

赤い避難小屋がポツンと建っていますが、辺り一面、ペンギンのコロニーが広がっています。

親と大きさがそう変わらないくらい育ったジェンツーペンギンの雛が、親を追いかけまわしたあげく、餌をもらっている様子が、あちこちで見られました。

雛をこうやって走らせて足腰を鍛えることが、アザラシなどの捕食者から逃げる時のスピードにつながるようです。

一方、ほとんど動かずに、羽が生え変わるのをひたすらじっと待って立っているだけのアデリーペンギンもいます。

海に入ることができる羽にならないと、餌をとることもできないので、今はひたすら絶食中で、少しでもエネルギーを使わないようにじっとしています。

辺り一面にペンギンがいるため、5m以内に近寄らないルールを守るのが難しい場合もありますが、こういうペンギンには特にうっかり近づいてストレスを与えないようにと、ナチュラリストから何度も注意がありました。

ペンギンの方から人に近寄って来た場合は、5m以内になってもOKで、人はじっとしています。この雛たちも親から餌をねだるのに忙しくて、人間に構わず、すぐそばまでやって来ました。

ナチュラリストから、ペンギンの親子がお互いを声で識別すること、海から営巣地までは臭いが頼りなこと、自分が生まれ育った営巣地に繁殖のために戻ってくること、親が死ぬと子供は育たないことなど、ペンギンの生態についてたくさん興味深い話が聞けました。

上陸地点には、白くてきれいなカニクイアザラシも2頭いました。

なかなか楽しめた上陸地でしたが、この島が、今回の南極クルーズで到達した最南端となります。

夕陽に染まるルメール海峡を北上する

船は、またルメール海峡に入り、北上して行きました。

ちょうど陽が沈む頃だったので、氷河や氷山が、夕陽色に染まっていっそうきれいでした。

今朝、海峡を南下して来た時に一番狭い所を塞ぐようにいた氷山に、夕陽が、ル・ボレアル号の影を映し出してくれました。

今回の南米・南極旅行のこれまでの中で、この日が一番充実した最高の1日でした。


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