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アプローチ
横須賀に寄港中のメキシコ海軍練習帆船クアウテモック号の一般公開に申込んで見学に行きました。
海上自衛隊の基地内に停泊中で、すぐ近くにはイージス艦もいます。
入り口で予約確認証と身分証明書を提示してパスをもらい、基地内に入って行きました。
乗船見学は10人ずつガイドに連れられて行われるので、日除けテントの下に座って少し順番待ちしましたが、同じ時間帯に申し込んだアーサー・ランサム・クラブ仲間のBさん、Tさんと待っている間に合流できました。
4人同じグループでいよいよ乗船です。
中央部
最初にメインマストのふもとで船の概要の説明がありました。
日本が誇る帆船の日本丸や海王丸と比べると、マストの数は4本から3本、マスト毎の横帆の数は6枚から5枚になり、一回り小さい船です。
1982年にスペインで造られた帆船で、現役の日本丸や海王丸よりも少し古いですが、マストを支えるサイドステーが全て剥き出しピカピカのワイヤーだったので、むしろ新しいような印象でした。
船上のあちこちにある真鍮も、どれもピッカピカに磨かれていて、よく手入れされ大事にされている感じがします。
船首側
一段高くなっている船首側のデッキに移動すると、さすが海軍というか、左右に一門ずつある砲が目をひきました。
これは実弾を撃つためではなく、礼砲用とのことで、昨日横須賀港に入港する際にも使われたそうです。
礼砲を何発撃ったのか尋ねると、21発とのことです。21というのは、国旗、元首、大統領、皇族に対する最大限の敬意を表す礼砲の数です。
昔、21発までしか撃てなかったので、全部空砲として撃つことで、攻撃の意思がないことを示したという説明がありました。(諸説あるようです。)
船尾側
次に、やはり一段高くなった船尾側のデッキに移動しました。
ここで一番目を引くのはやはり舵輪です。その周りには、コンパス(舵輪の左側)や機関室に速度変更を伝えるエンジン・テレグラフ(舵輪の右側)があります。
最後部には、一回り大きな予備の舵輪がありました。こちらは、普通に舵輪を握って立つと船尾側を向いてしまうので、舵輪の両脇に船首側を向いて立って2人がかりで操作するのでしょうか。
2つの舵輪の間にブリッジがありましたが、中には入れず、窓越しに撮った写真です。ブリッジと言ってもここに舵輪はないので、雨が降ろうが風が吹こうが、あくまでも外にある舵輪で舵をとることになります。
ブリッジに入るドアの上に飾られている9つの星は、この船に授けられた何かの賞の数だそうです。(ちなみに白い半球ドームは、船舶向け衛星通信用のアンテナです。)
ブリッジ前面に信号旗の一覧が貼られていましたが、左側はよく見る国際信号旗です。右側はメキシコ国内用だそうで、国によって国内用があるとは初めて知りました。
煙突に付いている錨は、帆走中に船がどれくらいヒールしているかを示す傾斜計になっているそうです。
再び中央部
その煙突の反対側には、上から、クアウテモック号の紋章、「船員精神の高揚のために」と書かれた船のモットー、造船年・場所を示す銘板が付けられていました。
船の紋章は船内のあちこちで見かけましたが格好いいです。
船室内には入れませんでしたが、窓越しにギャレー(キッチン)をのぞきました。
船外から
ガイドに連れられた見学ツアーの最後に、船首像を外から見ました。アステカ最後の王で船の名前にもなっているクアウテモックの像です。
真鍮はすぐくすんでしまうので、毎日上からチェアを吊り下げて船員が像を磨いているそうです。
ここで見学ツアーは終了しましたが、船尾側にも歩いて行くと、美しい船の全景写真が撮れました。
写真(↑)のほぼ中央に翻っているまるで海賊旗のような黒い旗は、船長が変わる度に作り直される船長の旗だそうです。
ズームアップしてみると、ちょっと若い感じですが、今の船長はこのようなお顔なのでしょうか。
おまけ:ヴェルニー公園
話は前後しますが、蒸し暑い日だったので車で行って、船から徒歩数分のJR横須賀駅そばに駐車し、海沿いに広がるヴェルニー公園を駅がある西端からコースカというモールがある東端まで歩き・・・
コースカ内の海鮮レストランでランチにしました。私はミナミマグロの中トロ丼にしましたが、美味しいしコスパも良くて(1200円)気に入りました。
ヴェルニー公園には、戦艦陸奥の主砲が展示されていたり・・・
無料のヴェルニー記念館内には大きなスチームハンマーが展示されていました。
ヴェルニーとは、横須賀製鉄所を作ったフランス人技師の名前だそうです。
公園から眺めるクアウテモック号はイージス艦と並んで見えて、新旧の対比がおもしろかったです。
船の見学前はたまらない暑さでしたが、見学を終えた16時頃には少ししのぎやすい気温になっていました。