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「元船乗りと行く、真の横浜再発見ツアー」と題されたガイド付き横浜港クルージングに、アーサー・ランサム・クラブの仲間と参加しました。
観光庁「地域観光新発見事業」の取り組みで開発・実証実験が行われてきたものが、初めて一般向けに提供されたツアーで、通常の横浜港内観光船とは違って、本物の航海士が一緒に乗船していろいろと説明してくれる嬉しい企画です。
飛鳥IIIの隣から出航
横浜みなとみらいの象の鼻ピアから乗船したYUMEHAMAは、3年前の工場夜景クルーズと同じ船でした。

ラッキーなことに、すぐ隣の大桟橋には、来月就航予定の新造船「飛鳥III」が接岸していました。

日本船籍(飛鳥IIIの母港は横浜)のクルーズ船の中で、飛鳥IIIは最大(5.2万トン、230m)ですが、おもしろいことに、飛鳥II(5.0万トン、241m)に長さでは負けています。

ガンマンの神業を目撃
ベイブリッジをくぐって対岸の大黒埠頭には、橋をくぐれない超大型クルーズ船スペクトラム・オブ・ザ・シーズ」(16.9万トン、347m)が寄港中でした。これまたラッキー!

大きなクルーズ船に近寄るのは後回しにして、ガントリークレーンが立ち並ぶ本牧埠頭に向かいました。

こんなに近くからコンテナの積み下ろしを見るのは初めてでしたが、思っていたよりもはるかに手際良く、ガンマン(ガントリークレーンを操縦する人)がワンマンでコンテナを積んだり降ろしたりする様子は、まるで神業でした。これを見れただけでも今回のクルーズに参加した甲斐がありました。

普通は1時間に30コンテナくらい、ベテランは35コンテナくらい、積み下ろしできるそうです。1コンテナ当たりたったの2分とは凄まじいスピードです。
それなのに、上からガンマンが手を振ってくれました。プロの余裕が格好いいです。
奇抜なアトラクションが豊富なクルーズ船
次は、スペクトラム・オブ・ザ・シーズに接近です。上海発着の1週間のクルーズで神戸・大阪に寄港した後、上海に戻る前の最後の寄港地が横浜です。

左舷船尾の目立つ黄色い球体は一体何だろうと不思議だったのですが、後で調べると、仮想現実体験のアトラクション用のものだそうです。

この船には、スカイダイビングのシミュレーターや、海面から約90mの高さまで上昇するガラス製の観覧カプセルなど、おもしろいアトラクションがいろいろあるようです。
働く船いろいろ
またベイブリッジをくぐると、豪華客船とは対照的な鉄屑運搬船に、ガントリークレーンとは対照的にチマチマとマグネットで少しずつ鉄屑を積み下ろししていました。

その先には、「横浜さとうのふるさと」と巨大な文字で書かれた目立つ建物がありましたが、20年ほど前に閉館となった砂糖の博物館で、ちょうどその前を、ほとんど沈没しかかっているように見える水運搬船が通っていました。いろいろな働く船が見られておもしろいです。

横浜港内にある米軍基地には、速そうな双胴の艦船が並んで停泊していました。

少なくとも真ん中のImpeccableは音響測定船で、双胴船=高速船というイメージがありますが、Wikipediaによるとこの船の速度は12ノットでむしろ遅く、静粛性と安定性のために双胴になっているようです。
その後、海上保安庁の巡視艇「いそづき」、ぷかり桟橋、ハンマーヘッドの側を通って象の鼻ピアに戻り、1時間の充実したクルーズを終えました。
飛鳥IIIの離岸〜接岸
船の人が、飛鳥IIIが大桟橋の反対側にこれから移動すると教えてくれたので、近くから見ようと行ってみると、ちょうど最後のもやい綱が解かれるところでした。

船は、ゆっくり後進しながら大桟橋の西側の岸壁を離れ・・・

大桟橋の先端付近で転回して、後進のまま大桟橋の東側の岸壁にゆっくりと近付き・・・

前後それぞれ6本ずつのもやい綱で係留されました。

もやい綱を次々と受け渡しする様子など一部始終を間近に見られて楽しめました。
つい最近、世界のあちこちの港で、強風のためクルーズ船を係留しているもやい綱が切れたり、岸壁のボラードが吹き飛んだりして、船が意図しない離岸をしてしまう事故が立て続けに3件も起きたばかりなので、風は穏やかな日でしたが、それでも最初に張ったもやい綱にすごいテンションがかかっている様子を見て、風が強い時には本当に慎重さが求められる作業だなと思いました。
贅沢な船室
就航前の飛鳥IIIをしげしげと眺めると、プライバシー保護のため隣り合う船室間にあるべきバルコニーの仕切り壁が無い所があります。揺れが少ない船の中央付近で、騒音が少ない中層階に、特にそのような船室がいくつもあり、一番大きな所は窓4〜5つ分の特大のスイートルームになっているようです。

船首と船尾の角にも最大で窓4つ分の大きなスイートルームがありました。

飛鳥IIIは、船の大きさの割には最大船客数が少なく、全ての船室がバルコニー付きで、とても贅沢な作りになっているようです。