「ちきゅう」見学@清水

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先週末に引き続き、雨の中を静岡県にお出かけです。今日は、待望の「ちきゅう」見学。朝7時にTitmouseさんとsugachanご夫妻を駅でピックアップして、由比PAでPetrelさんと合流し、9時には清水の日の出埠頭そばの駐車場に車を入れました。

去年4月のツバメ合宿で、その勇姿を海上で見かけて以来、いつかチャンスがあったら乗船して見学してみたいと願っていたのが、海洋研究開発機構(JAMSTEC)が持つ船の中でも最大の、地球深部探査船「ちきゅう」です。

P3066310P3066316駐車場から海に向かって歩いて行くと、建物の間から見える「ちきゅう」の船体は、まるで別のビルのようです。掘削用の塔の上の方は、何とガスの中で霞んでいます。船底から塔の上までの高さは130mもあり、30階建てのビルに相当するとのこと。

P3066318P3066315シーホッパーさんとオプティさんも合流して、見学客が並ぶ列に加わりました。一般公開は10時からで、天気も悪いのに、たくさんの人がもう並んでいます。早めに来て正解でした。

P3066325P3066332船首側のタラップから乗船して、階段をいくつも登り、まず最初に見学するのはブリッジでした。でも、そこまで行く間にも、壁に張ってある船内地図や、救命ボートなど、目を引くものが満載で、ついつい足が止まってしまいます。

P3066345_2素敵に広いブリッジで、そこにある数々の装置も興味深いのですが、やはり「ちきゅう」ならではの掘削装置が今日の見所です。海底を掘削するには、

  1. まず海底にドリルで穴を掘って、
  2. ケーシングと言う太いパイプをその穴に入れて、
  3. セメントを注入してケーシングを海底に固定します。
  4. 予定の深さまで1〜3を繰り返し、
  5. 海底のケーシングパイプの入り口の上に噴出防止装置をセットして、
  6. ライザーパイプで海底と船とをつなぎます。
  7. その中を通して泥水を循環させながらドリルパイプを上下して、
  8. 海底を掘削し、ドリルパイプ内に残るコアサンプルを採取します。

水深数千mの海底から、さらに数千m掘削して、いずれはまだ誰も到達したことのないマントルまで掘り進むことが1つのゴールとのことです。

P3066342P3066339掘る時に先端で回転する「ビット」が左の写真。人造ダイヤモンドが付いています。ビットにつながり、コアサンプルを採取するドリルパイプが右の写真の中央下のもの。これを約1000本、10km分も積んでいます。

P3066366P3066369ケーシングは、掘削の都度、船に必要なだけ積むそうで、見ることはできませんでしたが、ライザーパイプは、ずらりと積み重ねられていました。海中に長く吊り下げられていたので、生物が付着しています。

P3066370P3066372よく見ると、ゴムの付いたバンパー用、先端用など、用途に応じていろいろな種類があるようです。

P3066346P3066348採取したコアサンプルは、左の写真のところで切り出して、右の写真のCTスキャナにかけて解析します。これまでは、地震のメカニズムを調べるための構造面の研究が多かったのが、最近は、製薬への応用をにらんで、コアに含まれる生物の調査やそのための研究者が多くなっているそうです。

P3066353また、古代の地磁気を調査するために、地球や船の金属の磁場の影響から完全にシールドされた部屋もありました。地球の磁極のN/Sは、これまでに何度も反転しており、海底深くの古い岩石を採取してその磁気を調べることで、当時の地球の磁場がどうであったかが分かるようです。

P3066350P3066352コアサンプルの実物がこちら。右の写真は、紀伊半島沖の南海トラフで、海洋プレートが沈み込む部分を掘削したもので、右側が沈むプレートの玄武岩の岩盤で、まさにその境目を示しているとのことです。最初にこれを見た時には、そんなにすごいもの(^^)だとは分からなかったのですが、船の見学後に近くで行われていたシンポジウムをのぞいたところ、この研究成果の発表を聞くことができて、わかりやすい説明のおかげで理解が深まりました。

パイプを上げ下ろしするためのやぐらの下にある船の中の海面「ムーンプール」や、何ヶ月も掘削をする船に乗員や物資を運ぶため、ブリッジの上にあるヘリポートも見学したかったのですが、一般客には危険なためか、見学コースには含まれていませんでした。でも、いろいろな質問にていねいに答えていただけて、すっかり満足して、船尾側のタラップから船を降りました。

P3066377清水魚市場で海鮮丼の昼食を皆で食べて、午後はフェルケール博物館の見学です。

P3066380入り口を入ったところに、まさにアマゾン号を思わせる、木造でガフリグのA級ディンギーが展示されていて、うっとりと眺めちゃいました。

船関係の展示も面白かったですが、缶詰博物館というユニークな展示があって、ちょっと懐かしい缶詰のラベルなども見ることができ、楽しい1日をしめくくりました。

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コメント

  1. Petrel より:

    雨だったけれど、楽しんでいただけて何よりでした。
    ネットで調べた新聞記事によると、3/6 は雨にもかかわらず 3733 人の見学者だったそうです。(受付でインフルエンザ対策として問診票を書かされたので、それを集計したのかな。)
    朝早く行って正解でしたね。

  2. COOT より:

    昨日は、お知らせ&お誘いありがとうございました。おかげ様で「ちきゅう」見学が実現できて良かったです。
    今度は研究者として乗船したい!との野望がますます膨らんでしまいました(^^;。

  3. Petrel より:

    ちきゅうのウェブサイトに先日の一般公開の記事が掲載されています。
    http://www.jamstec.go.jp/chikyu/jp/CHIKYU/status.html
    3/6,7 で計 8225 名の見学者だったそうです。(3/7 の方が少し多かったですね。)
    写真はこちら。
    http://www.jamstec.go.jp/j/hot_pictures/?149

  4. COOT より:

    お知らせありがとうございます。
    出港して次の仕事をしているんですね。
    あ〜、乗りたいです(^^)。

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