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JAXA(宇宙航空研究開発機構)相模原キャンパスと、小惑星探査機「はやぶさ」カプセルの一般公開に行ってきました。
平日なのに最高3時間待ちだったという前日の様子の報道や、見てきたPetrelさんからの情報では、とてもカプセルを見るのは無理そうで、はやぶさとイカロスの話が聞ける宇宙セミナーだけでも参加できればいいやと思っていました。
でも、目が覚めたのは6時前、カプセルの公開開始は9:30、セミナーの開始は10:15。あわよくば、セミナー前にカプセルを見れるかもしれません。そこで、とっとこ朝食を済ませ、行列で時間をつぶす本やiPadと氷入りの飲み物を持って、8時前には行列に並びました。行列は森の中に延びていて、木陰で本を読みながら待つのはそう退屈でもなく、開場を9時に繰り上げてくれたので、10時前に「はやぶさ」カプセルの特設展示館に入ることができました。
地球の引力圏から離脱してまた戻ってきた唯一の物体が、今、目の前に、地球上でここだけにあります。そんな長旅や数々の試練を感じさせないくらい、きれいでした。(写真撮影禁止だったので、展示の様子はこちらをどうぞ。)
この「はやぶさ」ミッションを率いた川口淳一郎さんの宇宙セミナーにも間に合いました。8時前にここに着いた時に既にカプセルとは別の行列が出来ていて、メイン会場の席はさすがに無理でしたが、会場外のスペースにモニターが置かれていて、そこに映るプレゼン画面を見ながら、会場入口のドアから川口さんも見える所で、セミナーに参加することができました。
モニターに映る字はかろうじて読めるかどうかというところ、スピーカーから流れる音声も耳に手をあてて必至で聴き取る感じで、得られる情報量は半分くらいになってしまいましたが、それでも、とっても伝わってくるものがありました。
はやぶさの燃料漏れ事故で通信が途切れ、カプセルを地球に戻すことは絶望的な中で、そのために必要な予算を獲得したり、カプセルを着陸させて回収するためのオーストラリア政府の許可も得たり…、はやぶさもスゴイけど、本当にすごかったのは、企画し、作り、送り出し、最後まで諦めずに帰還させた、川口さんとチームの人々だったのだと実感しました。講演後、その「人」を称える気持ちをこめた拍手が、いつまでもなりやまず、ジーンと来たし、日本人としての誇りも感じました。
午後のセミナーは、会場に着席できる整理券をゲットするのに間に合いました。パンを買って手早く昼食を済ませ、会場で、セミナーが始まるまで、日本のロケット開発の歴史のドキュメンタリービデオを見て、これも楽しめました。結局、ペンシルロケットから始まって、技術の実験と改善の積み重ねで日本の宇宙探査の今があることが、よく納得できます。
イカロスのチームリーダー森治さんの「イカロスの船出と太陽系大航海時代の幕開け」と題したセミナーも、とても分かりやすく楽しいものでした。ソーラーセイルに薄膜太陽電池を取り付けた(ここが日本の技術のミソ)ソーラー電力セイルが、電力命のイオンエンジンに電気エネルギーを供給します。非常に微々たる力でも、時間をかければ少しずつ少しずつ加速していくことができます。莫大なエネルギーを短時間に放出することが必要な場合もあるけど、結局は、エネルギーと時間をかけ合わせた面積をいかに大きくするかということなんだなと実感できました。
実はソーラー電力セイルの技術、木星を目指す1つの良いアプローチではありますが、さらに太陽から遠くなる土星を目指すには、ちょっと…というものらしく、イカロスへの情熱と共にそのあたりを客観的に見据えた説明や質疑応答が、とっても好印象でした。
ここまではJAXA向かいの博物館の特設会場での催しで、ようやく14時を過ぎて、JAXAのキャンパスに足を運びました。
第1〜6会場を順番に全て見て回りましたが、印象的だったのは、イカロスとそのソーラーセイルの実物大のモデルです。
他に良かったのは、人工オーロラ(40分並んで見ました)、「かぐや」の3Dハイビジョンの月面・地球の出・地球の入・満地球の映像などです。
今回初めてJAXAキャンパスを見学しましたが、毎年一般公開はされているようで、その積み重ねか、運営面での工夫がとても良くされていることに感心しました。イカロス関係の展示がたくさんある第1会場では、じっくり見たい人と、さっと見たい人のレーンが分けられていて、これはとてもありがたかったです。カプセルを見るための長い行列も、できる限り日陰で待てるような工夫や、随所におかれたミスト付き扇風機も嬉しかったです。
そのおかげかどうか、並んでいる一般参加者も、ギスギスした感じがなくて、皆が楽しめるようにお互いに気を使っている雰囲気があったのを、とても嬉しく思いました。
コメント
がんばって行った甲斐があったようで、よかったですね。JAXAキャンパスは、スケートとか学校見学とかで何度か近くをとおったことがありますが、いつか(こんなに混んでない時に)入ってみたいものです。
今年ほど混むことはまず無いでしょうから、来年は余裕で見学できるんじゃないかと思います。カプセルの公開は、この後、丸の内や筑波でもあるようですが、こちらは、まだまだ覚悟が必要そうですね。
カプセル展示、セミナー共、見られてよかったですね。
相模原キャンパスの一般公開は毎年7月末にあって、私はこれまでに数回行きました。数年毎に行くと日本の衛星開発状況の様子がよく分かりますよ。
来年には、はやぶさのカプセル展示もこれほど混雑せずに見られるのではないかと期待しています。
なるほど〜。今年になって初めて見学したJAMSTECもJAXAも面白かったので、これからは私も何度も行くことになりそうです。特にセミナーは毎年新しい話が聞けるでしょうから楽しみです。
元天文少年のための施設公開情報
既にご存じかもしれませんが、念のため。
私は 1)~4) の特別公開に各数回、6),7) に各1回、行ったことがあり、楽しめました。
今年が無理ならば、特別公開は来年もほぼ同じ時期に開催されるでしょうから、チェックをお忘れなく。
・天文台関係
1)国立天文台野辺山 特別公開(8/21)
http://www.nro.nao.ac.jp/openday/open2010/index2010.html
45m 電波望遠鏡、ミリ波干渉計など。
特にお勧め。
通常の見学コース(ふだんから公開されている)以外に、いつもは見られないところまで見学できます。セミナー等もあります。1日十分楽しめます。
2)東京大学木曽観測所 特別公開(8/7,8)
http://www.ioa.s.u-tokyo.ac.jp/kisohp/INSPEC/inspec_sp.html
国内最大の 105cm シュミット望遠鏡など。
3)岡山天体物理観測所 特別公開(8/28)
http://www.oao.nao.ac.jp/public/event/od2010/
国内最大の 188cm 反射望遠鏡など
4)国立天文台三鷹キャンパス 特別公開(10/22,23)
2009 の過去情報しかまだ載っていません。
いつかは行ってみたいのは、
5)すばる望遠鏡(ハワイ島マウナケア山)
見学について
http://www.naoj.org/Information/Tour/j_index.html
・JAXA 関係
6)臼田宇宙空間観測所(64m アンテナ)
http://www.jaxa.jp/about/centers/udsc/index_j.html
見学について(特別公開はないようですが、原則いつでも見学可)
http://www.jaxa.jp/visit/usuda/index_j.html
はやぶさとの交信で、世間でも「うすださん」として有名になりました。
7)内之浦宇宙空間観測所
http://www.jaxa.jp/visit/uchinoura/index_j.html
毎年11月に特別公開があるようですが、特別公開には行ったことはありません。
そのうち行ってみたいのは、
8)種子島宇宙センター
http://www.jaxa.jp/visit/tanegashima/index_j.html
毎年4月に特別公開があるようです。
9)筑波宇宙センター
http://www.jaxa.jp/visit/tsukuba/index_j.html
毎年 4,10 月に特別公開があるようです。
��次回は 10/16、もしかしたらこの時に、はやぶさカプセルの展示がまたあるかもしれませんね。)
おお、いろいろあるんですね。この中では野辺山の一般公開しか行ったことないです。
内之浦や種子島はいつか行ってみたいですね。打ち上げを一度は見てみたいし。
穴場?かもしれませんが、地元の玉川学園大学キャンパスの天文台で、学園祭の時に、「昼の星」を見せてくれました。真昼間でも性能の良い望遠鏡を正しい方向に向ければ、明るい恒星は見ることができるんだとビックリしました。
この行列、同じ日の9時から10時まで並んでました。用事があったので、そこで子供二人をおいて私は帰りました。道の両側で折り返して並んでいたから、どこかの時点ですごく近くにいたかもしれませんね。
イカロスのソーラーセイルも見たかったです、あの薄いプラスチックフィルムは私の今の仕事にかなり近いものだから。
おお、なんとニアミスをしていたのですね。私が行列についた後もすごいスピードで列が延びていって、森の中をクネクネと一周した後、道路に出て、それが折り返してきて、すごかったです。
行列の最後尾で案内していた人は、その内に声が聞こえないくらい遠くに行ってしまいましたが、きっと声を枯らしていたんじゃないかと思います。