8月の北極圏の夕空
スピッツベルゲン島に寄港した翌日は、バレンツ海を南下する終日航海日でした。

まだ北極圏ですが、緯度が下がったその夜は22:35に日没を迎えます。その少し前の21:47時点の太陽は、空をオレンジ色に染めて輝いていました。

漁港の街を散策
翌朝9時前にホニングスヴォーグに入港しました。ここでも短い埠頭に船腹をちょこんと着ける形での接岸でした。

船を降りたところで大きなトロール像に出迎えられました。

予約している現地ツアーの集合場所もここですが、まだ集合まで1時間半ほどあるので、のんびり街歩きに出かけました。
まず、大きな漁港を一回りするように海岸沿いに散歩して・・・

坂道を登って教会に行ってみましたが、中は改装中で入れませんでした。

干して乾燥させて何年も保つようにしたタラがこの辺りの名物です。

土産物店で売っていたので味見しようかと思ったら、意外によいお値段でした。
ボートからバードウォッチング
今日は、2つの現地ツアーを続けて予約してあり、1つ目は11〜14時のバード・サファリで、ボートに乗ってバードウォッチングをします。
まず、バスに30分ほど乗って、ホニングスヴォーグがあるマーゲロイ島を東から西へ横断する間、次々と現れる絶景を楽しめました。

ボートが出る小さな漁村が見えてきました。その奥に浮かぶ島の辺りでバードウォッチングをします。

ボートは、別のツアー客が到着するのをしばらく待ってから出航し、たくさんの島々に接近しながら、野鳥を見つけると速度を落として双眼鏡で観察できるようにしてくれます。

最初に見たのは、岩の上にたくさんいるキョクアジサシです。この鳥は、5年半前に南極に行った際にも見ましたが、北極圏で繁殖して南極大陸付近で越冬するのに地球を縦断する最も長い距離を渡る鳥です。

海上に群れで浮かぶパフィンやウミガラス、見晴らしの良い岩場にとまっていたり空を滑空しているオジロワシは、たくさん見かけました。

こちらは、日本でも珍しくない鳥ですが、海岸の岩場で羽を休めるウミウです。

おびただしい数のカモメの営巣地は印象的でした。

海の中から顔を出してこちらを眺めている好奇心旺盛なアザラシも何頭か見かけました。
1時間半ほどボートに乗っている間にたっぷり野鳥を観察できて、かなり満足度の高いツアーでした。一昨日の凍えたボートとは反対にポカポカ陽気だったのも良かったです。
ノール・カップへの道
1つ目のツアーが遅れたので、間に30分しかゆとりのない2つ目のツアーに間に合うかハラハラしましたが、なんと、最初のツアーのバスの運転手の奥さんが2つ目のツアーのバスの運転手で、バスの一番後ろの席に滑り込めました。
ホニングスヴァーグに来たほとんど全部の人が目指すのがノールカップで、2つ目のツアーでは、何ヶ所かに寄り道しながらそこを訪れます。
最初に停まったのが、この最果て感のある景色が望める写真スポットです。

次に、漁村に立ち寄りましたが、漁港や漁船を眺めるのはそこそこにして、皆が早足で目指したのは・・・

バスで通り過ぎた民家の庭にいた立派な角を持つトナカイです。

この辺りの先住民族サーミ人(旧称ラップ人)は、漁労、狩猟、採集に加えてトナカイ遊牧を生活の基盤としてきました。
次にバスが停まった所で、そのサーミ人と飼われているトナカイに会うことができました。

その辺りの荒野でも放牧されているトナカイを何頭も見かけました。白いトナカイもちらほらいたので、そう珍しい色ではないようです。

ノールカップの日本
バスは、目的地のノールカップに着きました。すごい強風です。
崖の上の地球儀のモニュメントが、ノールカップのシンボルです。

ここが「ヨーロッパ最北端の岬」だからこそ、大勢の人が来るのですが、ずっと北のスピッツベルゲン島から来た我が家としては、どうもピンと来ません。ヨーロッパ大陸最北端と言うなら分かりますが、ここはマーゲロイ島にあるので、大陸と言うには無理があります。
それに、少し西側にある岬の方が、もっと北に延びているのです。まあ、そういう無粋なことを考えるのは程々にして、素晴らしい景色を楽しみました。

近くには「地球の子供たち」と題された7つの円盤のモニュメントがあり、その一つに「あゆみ」とひらがなで書かれていました。

1988年に世界7カ国からの子供たちがここで合宿した際に製作されたもので、日本から参加した「あゆみちゃん」が作ったものです。
こんな所で日本に出会えて嬉しかったです。
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