大失態のバレッタ入港
今回の地中海クルーズを選んだ大きな理由の1つは、いつか行きたいと思っていたマルタ島のバレッタが寄港地に含まれていたからです。
バレッタの最大の見どころの一つは、その入港風景と聞いていたので、船のどこで見るのが良いかを朝のうちに偵察すると、右舷〜左舷の移動がしやすい16階のアクアパークの船尾よりが良さそうです。
入港は11時の予定なので、それまでアトリウムでのイベントに参加しながら、時々スマホで現在位置を確認していました。
ところが何たる不覚。ふと気づくと、もうバレッタに入港中です。慌ててエレベーターに乗りましたが、こんな時に限って各階のように停まってもどかしく、16階の観望ポイントに着いた時にはもうほとんど岸壁のそばで、肝心なところをすっかり見逃してしまいました。

さすがに目の前は、素晴らしすぎる景色です。
でも、これを遠くからまず眺めて、ワクワクしながら近づいて、だんだんと街並みがズームアップされていく過程を楽しみたかったです。
今回の旅行で一番の大失態でした。
人気の寄港地なので、今日も複数のクルーズ船が同時に寄港します。先に入港していたP&Oアズーラ(11.5万トン)が、すぐ隣に接岸していました。

漁港の市場で地中海みやげ
マルタ島は、たくさんの見どころが分散しているので、効率よく見てまわるために、まず「マルタ発見半日ツアー」という車貸切の現地ツアーで郊外の見どころを4時間でめぐり、次にバレッタ市街観光を個人で歩いてすることにしました。
クルーズターミナルを出た所で12時ちょうどに車でピックアップしてもらい、バレッタから南東方向へ20分ほどで、マルタ島最大の漁港があるマルサシュロックに着きました。
たくさんの漁船が浮かぶ湾の岸沿いに観光客向けの市場やレストランが並んでいます。

端から端まで歩きながら、お店の一つで、地中海っぽいレモン柄のテーブルクロスを我が家用のお土産として少し値切って買いました。

鷹とソーダと青の洞門
次に訪れたのは、空港のそばを通って西へ20分ほどの青の洞門(ブルーグロット)です。ナポリの近くのカプリ島のが有名ですが、マルタ島にもあるようです。

「今日は風が強くて遊覧船が出ないから、代わりに寺院を見に行くか?」と、今日最初にドライバーに聞かれたのですが、マルタ島の自然の景色も見たいので予定通りで良いと答えました。
そうして良かったと思える美しい迫力のある景色でした。
展望台では観光客向けに鷹匠が鷹を操っていました。

ドライバーと道中いろいろ会話する中で、マルタのソフトドリンクでオレンジとレモンが入ったKinniと言うのがあると聞いていたのですが、展望台のワゴン店で売っていたので、€2.5で買って飲んでみました。

爽やかな味で美味しかったです。
世界最古の神殿とマルタ語
その後、すぐ近くにあるハジャール・キム神殿に寄りました。なんと現存する世界最古級(紀元前3600〜3200年頃)の宗教的建造物で、ピラミッド(紀元前2600年頃)やストーンヘンジ(紀元前2500年頃)よりも古いものです。

ここは元々の予定には無かった所なので、入場料を払わずに近寄れるギリギリの所から写真を撮るだけにしておきました。
神殿の名前のハジャール・キムはĦaġar Qimと綴るのですが、初めて見たĦ(Hに横棒、エイチ・バール)というアルファベットは、世界でマルタ語でしか使われないアルファベットです。
そのことがきっかけでドライバーからマルタ語についていろいろ聞いた話は、ものすごくおもしろかったです。
ラテン文字で書かれるけど大元はアラビア語の仲間で、歴史的にイタリア語と英語の影響も大きいので、3つが混ざったような言語になっていて、「こんにちは」はイタリア語っぽい「ボング」ですが、「おはよう」や「こんばんは」はアラビア語系だし、「ありがとう」はイタリア語っぽい「グラッツィ」ですが、「どういたしまして」はアラビア語系なのです。
英語系は挨拶では少ないですが、新語・現代語では多いそうです。
崖上の教会でサボテンと伝統菓子
また15分ほど西へ進み、ディングリ・クリフに来ました。高さ250mくらいの崖ですが、真下に波打ち際が見えるほど切り立っているわけではないので、あまり崖っぽくはなかったです。

そこには素朴で小さな教会が1つ建っていました。見かけによらず、マルタの象徴的な聖地の一つで、ここでウェディングフォトを撮るカップルも多いそうです。

近くの売店でサボテンの実が1個€1で売っていて、その場で皮を剥いてくれるのを食べてみました。固い種もそのまま飲みこんで構わないそうです。

見かけから想像する以上に美味しかったです。その後、車で走りながら道端でサボテンを見かける度に美味しそうに見えました。
ドライバーがハニーリングというマルタの伝統的なお菓子をプレゼントしてくれましたが、こちらも美味しかったです。

黒糖のような甘さとスパイスが合わさった独特の味わいでした。
古都のメインストリートを歩く
次に、10分ほど北にある次の見どころへ向かう途中、外国からの要人をもてなす迎賓館として使われている建物を遠望しました。

このツアーの最大の見どころで、マルタ最古の都市であるイムディーナ旧市街の入り口に着きました。

城壁に囲まれた街↓に、橋↑を渡って入ります。

メインストリートの両側には、全部写真を撮りたくなるような建物が並んでいます。

ゆったりカーブする脇道もまた素晴らしい眺めです。

メインストリートの左側にあった聖母マリア受胎告知教会の中をのぞきました。マルタで最も美しいバロック建築と言われています。

メインストリートの突き当たりまで行くと、城壁の向こうにバレッタの白い街並みが遠望できました。

山も湖も川もないマルタ島の一番高い所に築かれた街なので、遠くまでよく見渡せます。
芸術的な墓碑の上を歩く
帰りは東側の別の道から城門へ戻るように歩きました。こちらもまた素敵な路地で、映える写真が撮り放題です。

最後にイムディーナ最大の見どころである聖パウロ大聖堂を見学しました。

印象的だったのは床のカラフルな大理石モザイクです。それが見やすいように椅子が透明なのも気が利いています。

床全体に張り巡らされた芸術品のような墓碑の上を本当に歩いていいのだろうかと思わせるくらい素晴らしいものでした。
1時間ほどの自由時間で旧市街を歩いた後、また車に乗って出発してすぐ、小さな美しい石造りの建物の前を通りましたが、昔のカジノだったそうです。

スーパーとお祭り
東へ30分ほどのバレッタへ戻る途中、できれば大きなスーパーに寄って欲しいと頼んでおいたので、ドライバーが連れていってくれました。

スーパーでは、さっき食べて美味しかったサボテンとハニーリングや、ハチミツなどを買いました。
マルタ人はお祭り好きなようで、ちょうどお祭りの日だったいくつかの街では、このように街中がカラフルに装飾されていました。花火もよく打ち上げるのだそうです。

バレッタに戻り、現在は首相官邸になっているカスティーリャ騎士館の前で車を降りて、ドライバーと一緒に記念写真を撮ってからお別れしました。

ドライバーは、トニー・モンタナさんという体格の大きな中年男性で、英語は分かりやすく、話しやすく、質問もしやすいし、ちゃんと答えてくれるし、気さくでとても良い方でした。
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